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「えっと、こんにちは」
ぎこちなくではあるがはっきりと挨拶した。
「おはよう。俺は木宮涼だ! よろしくな!」
木宮涼(きみやりょう)は先程円に声をかけたときと同じように明るい調子とそれに似合った笑顔で挨拶を返し自己紹介をした。
涼のその屈託のない素直な笑顔に朝見た少女の満天の笑顔を連想するものを受けて少なからずの好感を覚え、円もなるべく暗い印象を持たれないよう笑顔で返した。
「ああ、木宮くんか。僕の後ろの席だね。よろしく」
人付き合いが嫌だなんて思惑を感じさせない笑顔を見せる。涼はその笑顔に友好的な印象を持ち、円の思い通りの印象を与えることが出来た。
しかし、涼は最初に机に突っ伏した円を目にしていた。
だからこそ、涼は真っ先に円に話しかけたのだから。
「木宮くんだなんて、恥ずかしい呼び方なんてよせやい。涼でいい。その代わり、マドカと呼ばせてもらうぜ」
涼も席に着きながら言った。
涼は他人行儀な交友は好まない、積極的に話しかけていく意気込みだった。
勿論、友は選ぶ。涼にとって円の第一印象は合格だった。
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