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雅和
「ディオが帰国してから既に二月か…」
溜め息混じりに話す雅和。
その表情は暗く重い。
龍二
「しょうがねぇよ、アイツにだって事情はあるさ」
龍二も思い出したかの様に唇をかみ締めた。
そう…雅和のいうとおり、ディオは既に日本にはいない。
それは突然であった。
ディオの父の転勤がきまり、母国アメリカに戻らなければならなくなったのだ。
突然の知らせに最初は事態が読めなかった一同も、今になり、チームメイトがいなくなった寂しさを心の底から感じている。
麻帆
「何言ってんの‼ディオと約束したでしょ?日米交流試合で必ず会うって」
麻帆が思い切り龍二の背中を叩いた。
むせ返る龍二をよそに麻帆の力説は続く。
確かにムードメーカーでもあり、チームの大砲でもあり、何より掛け替えのない戦友であるディオを失った心とチームの傷はデカい。
しかしながら、それを乗り越えてこそ、初めてチームを離れたディオに何かを伝えられ、自分たちが成長する。
それを誰もが肝に命じる良い機会になった。
そして何よりも、失意に沈む野球部を見兼ねて飛び入りでマネージャーになってくれた真宮沙耶。
彼女の存在は大きいに違いない。
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