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「…っ…!」
「幸って娘は、お前だったのか…」
なぜこんなことになっているか。
それは、
事が始まる前のところに少し遡ってみよう。
***
「片倉様!」
朝、
自身の畑を一段落弄った後、自室へと向かって歩いていた小十郎は声の聞こえる方向に踵を返してみる。文の管理を任されている者がこちらに走ってきて一通の文を渡した。
「…なんだ?」
「先日届いた文です。宛先は確か、上田城の…真田幸村だったはずです」
「…そうか、じゃあ俺から政宗様に渡しておこう」
「有難うございます」
男は一言そう言って仕事場に戻っていった。
真田幸村からの文ならば、前に同盟を結ばないかとこちらから誘ったそれの返事だろう。
手に持った文の中身を勝手に予想しながら、自分の主の部屋へと向かう。
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