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政宗との会話から数時間後、
小十郎は疎遠する準備が出来たので、そろそろ出発しようと主のところに行って頼み事とはどんなものなのか聞いてみると、
「甲斐に行く途中に、山の麓近くに幸(さち)という娘がいる。そいつを探して甲斐に送って行ってくれ」
と言われ、麓辺りの地図を渡された。それが頼み事なのですか?と質問すると、
「あぁ、これは俺からの頼み事ではなく真田幸村からの頼み事なんだ。あの文に知り合いの幸という娘をこちらに連れてきて欲しいんだと書いてあった」
小十郎は政宗の話を聞いて少し疑問を抱いた。
知り合いなら真田自身が、その幸って娘を迎えに来てそして同盟許可の文を渡せば良かったのでは?やら城を抜け出せないなら、真田の忍びである猿飛に任せろば良かったのではないのかと思った。
しかし、これも政宗様から申し出された任務なので、文句は言わない。
「…分かりました。その娘を探して一緒に甲斐に行きます。」
そういって側に置いている荷物を肩に掛け、
「それでは、行って参ります」
「あぁ、気を付けろよ」
政宗は、小十郎の背中をバシッと叩いて見送った。
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