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なんでだろう…。
「はぁ…」
そりゃ、溜め息も出るよ。
【青息吐息】
「片倉の旦那ってさ、伊達の旦那と野菜がないと生きていけないよね」
「なんでだ…?」
首を傾げる男、片倉小十郎は奥州筆頭伊達政宗の右目だ。
いまだ自分の畑を弄っている。
そんなに大事?その畑。
「だってそうじゃん?俺様がせっかく奥州に来ても、伊達の旦那を世話焼いてるか畑を弄っているかじゃん」
いつもそう。
俺様には向かない、その視線。
「いーなぁー…」
その視線が欲しい。
伊達の旦那じゃなく
畑じゃなく
自分に向いて欲しい。
あー…ははっ
こんなの自分で考えても分かる。
これは、嫉妬だ。
醜い嫉妬。キモチワルイ。
「…ねぇ、旦那」
少しでもこっちに気があるなら、
無意識に俺様に視線が向くなら、
(俺様を好きになって…)
end
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