milkchocolate

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「う~ん手作りは時間ないから、市販の物を詰め込みますか!」 確かにそれは無難かもしれないなと思いながら、それ以外のことを考えていた。つまり、恋人である五十嵐へのチョコだ。去年の年の瀬につき合いだしてまだ二ヶ月も経っていない恋人へのプレゼント。なにをあげても喜んでくれるような人なので悩む必要がないと言えばない。だが、いままでバレンタインをあまり重要視していなかったためなにをあげればいいか困ってしまう。 ……やっぱりオーソドックスにチョコかな。 五十嵐がチョコを食べるのを想像して、似合わないなどと思ってみる。前は口を開けば嫌みだった上官が今や、理子の恋人なのだ。嫌みが吐かれる口からは愛の言葉を囁かれ、無骨な大きな手は、理子を優しくなでる。 思い出しただけで恥ずかしくなる。 「先輩、本命はいるんですか?」 いきなり引き戻された現実に、ドキリとする。
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