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「いきなりだね。」
「だって先輩綺麗になったじゃないですか」
「からかうな!」
「からかってませんよぉ~いるんですか?」
「なにが?」
「もう、彼氏ですよ。」
嬉しそうに綾瀬は聞く。
だが、理子と五十嵐の関係は秘密だった。同じ中隊というのもあるし、五十嵐が理子の上官、しかも小隊長だということもある。理子も五十嵐も仕事に私情を挟みたくない人間だから、万丈一致で、二人の関係は秘密にしていた。
「いたら、綾瀬と買い物なんかにこないよ。」
「え~いると思ったのに~」
残念そうな綾瀬。確かに今日は五十嵐との約束がない。と、言うのも五十嵐が、中隊の当直だからだ。つまり、外出から帰り外出証を返しにいくときに無条件であえる。
寂しいかと言われたら否ともいえないが、そこまでじゃない。
いつも休みは会っているし、中隊でも顔は見れる。
会えば出かけるよりも先に……、いや、昼間からなに考えてるんだろう。
恥ずかしくなった理子は、食後のコーヒーを飲み干した。
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