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いつものところ。つまり、駐屯地から少し離れたコンビニだ。待ち合わせ場所としてよく使う。たまに隊員がつかうが、もう一つ有る近くのコンビニの方が遙かに隊員が流れていくのでここはさほど見つかる心配はなかった。
約束の七時をすぎてきた車に理子は迷わず乗った。
「すまない。仕事がなかなか片づかなくて……。」
小隊長は忙しい。だから、別に気にしない。
「いいですよ。」
慣れたとはいえ、五十嵐は十分すぎるほどいい男だ。迷彩服とはまた違った制服の色香が、理子をドキドキさせるには十分だった。
「寒かっただろう。」
「店内にいたから。」
走り出した車の中で恒例になった手を繋ぐという儀式。五十嵐の手は本当に暖かった。
「どうする?」
「ご飯を食べましょう。どこがいいですか?」
「じゃあ、いい店がある。」
そういった五十嵐は車を向かわせた。
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