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翌朝、私はミズサの家の前にいた。
「おはよう、ナツメ」
いくらか落ち着いたみたいだ。
「ミズサ…昨日のことさ…、本当にワザとなのかな?」
ミズサの反応を見ながら問いかけてみた。
「うん…多分」
ミズサは少しためらったが、口を開いて話だした。
「前に私、数学の教科書なくしたって言ったじゃん?」
「夏休みに入るちょっと前だよね」
「うん。実はさ、あれ見付かったんだ。ナツメに言ってなかったけど」
ミズサは少しうつむいた。
「それでね……、教科書のページに全部【死ね】とか【消えろ】みたいなこと書かれてたの……」
私は声が出なかった。
「ミズサ……ごめん、力になれなくて」
「気にしないで。ナツメはいてくれるだけでいいんだ♪」
私は少し微笑んだ。
「じゃあ、昨日のも……?」
「うん、教科書の奴だと思う」
ミズサは遠い目をした。
「きっと、ミズサが憎いんだね……」
ミズサは寂しそうにつぶやいた。
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