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「…何故だろう…いつのまに…ここに…。」
目の前には大きな屋敷が建っていた。
そこは、今の自分の記憶にはない場所…
だが何故か、自然と足がこの屋敷に向かっていた。
一方、屋敷の主である魔王四天王・ジャンは、自室の窓からボーっと外を眺めていた。
ふと窓の外に気配を感じベランダに出ると、そこにフィリスの姿を見つけた。
「…!フィリス!!」
思わず声を張り上げて相手の名前を呼ぶと同時に、何かを期待していたジャンは、高さを構わずベランダから軽やかに飛び降りフィリスのもとへ駆け寄った。
「えっ?うわぁ!」
名前を呼ばれ視線を上げれば、飛び降りてきたジャンに釘付けになる。
ふと、不思議な感覚が頭の中をよぎった…
「あの…こんばんは…えっと…ジャン…君の屋敷だったんだね…。」
「うん、ここは僕の屋敷だよ。どうしたの?その様子だと、まだ記憶は戻ってないみたいだけど…。」
呼び掛けに反応が見えた事にふと笑みが零れかけたが、期待していたソレとは違っていて…
無意識にジャンの表情が翳りを帯びていく。
そんなジャンの様子を見て、フィリスも酷く胸が痛んだ。
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