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春の日差しがカーテンの間からこぼれる朝。
今一人の少年の一日が始まろうとしていた。
「お兄ちゃん朝だよ~」
「ふぁ~~あ、葵おはよ」
葵
「私もう先に行くよ?」
「行ってらっしゃい」
少年を起こしに来た葵と呼ばれた少女の行為も虚しく、お兄ちゃんと呼ばれた少年は、けだるそうに言って布団を被り直したのだった……。
葵
「もう遅刻しても知らないよ……」
そして葵と呼ばれた少女はため息をつくと呆れる様に部屋を出ていってしまった。
…………それから数分後。
少年の部屋へとパタパタと廊下をスリッパの歩く音が近付いてきた。
そして足音は少年の部屋の前で止まった。
次の瞬間バタンっ!!――と扉が乱暴に開けられた。
扉の前に立っていたのは……。
「いつまで寝てるの!さっさと着替えて行く!!」
「ぐぁ」
少年の母による、朝一のみぞおち踵オトシによって少年は永遠の眠りに尽きそうになりながらも起きた。
「大丈夫だって今日は入学式なん……」
しかし少年の言葉は少年の母の声によって妨げられたのだった。
「馬鹿かーーー!!屁理屈はいいからさっさと行きなさい!!」
「やべっ!行ってきまーす」
そして少年は母親から逃げる様に学校に向かったのだった。
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