伍拾、動き

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  広島ではすでに高杉晋作が奇兵隊を挙げていると聞く。 本来ならば、そちらの方も見ておきたかったのだが、この調子ではそれも無理だろう。 「……どう思いますか、近藤さん」 休憩のために立ち寄った茶屋で、お茶を飲んでいた近藤の隣に伊東が腰掛ける。 「……ああ、伊東さん。……どうもこうも、これじゃあとてもじゃないが幕府軍は負けてしまうよ……。高杉の奇兵隊が、拡大してきている」 「そのことについて、幕府軍は怯えているようですね」 「そうだな……。武器の性能も、あちらが上回っている。次の第二次長州征伐は、前回のように上手くはいかないかもなぁ」 「……」 伊東は近藤の言葉に、空を見上げた。 (……我々も、そろそろ動き出すべき時期だろうな……) そうして、その翌月六月七日。 幕府軍は上関口の大島を砲撃したはいいものの、近藤の予想どおり、幕府兵の士気が低く、とてもではないが普通に戦える状態ではなかった。 .
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