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広島ではすでに高杉晋作が奇兵隊を挙げていると聞く。
本来ならば、そちらの方も見ておきたかったのだが、この調子ではそれも無理だろう。
「……どう思いますか、近藤さん」
休憩のために立ち寄った茶屋で、お茶を飲んでいた近藤の隣に伊東が腰掛ける。
「……ああ、伊東さん。……どうもこうも、これじゃあとてもじゃないが幕府軍は負けてしまうよ……。高杉の奇兵隊が、拡大してきている」
「そのことについて、幕府軍は怯えているようですね」
「そうだな……。武器の性能も、あちらが上回っている。次の第二次長州征伐は、前回のように上手くはいかないかもなぁ」
「……」
伊東は近藤の言葉に、空を見上げた。
(……我々も、そろそろ動き出すべき時期だろうな……)
そうして、その翌月六月七日。
幕府軍は上関口の大島を砲撃したはいいものの、近藤の予想どおり、幕府兵の士気が低く、とてもではないが普通に戦える状態ではなかった。
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