17人が本棚に入れています
本棚に追加
オリヴィエと言う名の女の吸血鬼は口をヘの字にしてローレンスを睨み付けた。
「ゲホッ…ゲホッ…」
「大丈夫かい?レイチェル」
「あぁ…なんとかな…オリヴィエ、もう少し自分の力の強さを理解してくれ…命がいくつあっても足りない」
「…ごめんなさい…レイチェル」
服に付いた埃を払ってレイチェルは立ち上がる。
すると彼の目の前に高齢な婦人が立ち塞がって口を開いた。
「どぉ?人間の血はちゃんと吸えてる?」
「…」
婦人はニコニコと笑みを浮かべ、周りにいる男女はレイチェルを嘲笑うかのように見つめていた。
「アンタの父親もそんな目をしていたわ…やっぱり、蛙の子は蛙の子ね」
「…」
「人間の血を吸わない《ファースト》の位を持つ吸血鬼なんて…宝の持ち腐れも良いとこよ…」
「……れ…」
「人間なんてね…所詮、私達の餌なのよ…其を食べずに生きるなんて…アンタとアンタの父親くらいしかいなかったわよ」
「……黙れ…っ」
レイチェルは苛立つ気持ちを抑えていた。しかし、婦人の話は止まらない。
「アンタの母親も馬鹿よね…吸血鬼に襲われる事くらい解っていただろうに…その吸血鬼と暮らすなんて…頭が少し可笑しかったんじゃないかい?」
「――――っ!!黙れ糞婆ァッ!!!」
.
最初のコメントを投稿しよう!