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その日の帰り、例の男の子は駐車場で私を待っていた。
ある程度は予想していたものの、私は動揺を押さえられなかった。そして、また恥ずかしそうに頭をかきながら私に近付いてきて言った。
「待ってたけー今日は付き合ってや。見せたいもんがあるんよ。」
その時私には恋愛感情はなかった。ただいつもみたいにごはんでも食べておごってもらえばいいやって、そう思った。
車は、国道をものすごいスピードで走る。
「どこ行くつもり?」「いったやろ?見せたいもんあるって。俺のことはヨシって呼んでよ、かわいいかわいいサヤカちゃん。」
「…。」
コイツ変なやつだなって思った。
30分ほど走って着いたとこは恋人たちが集まる夜景スポットだった。
車を停めて、ヨシは私の手を引いてすごい勢いで展望台まで走り出す。
「ちょ、ちょっとヨシ!」
もう私の話なんて聞いちゃいない。恋人たちをかきわけて一番高い所まで一気に来た。星が近い。
町の灯りも星みたいに瞬いて、上にも下にも星だらけだ。
「キレイ…」
ヨシはマジメな顔で呟いた。
今日初めて会話した二人が恋人に紛れて星を見てる。何だか変な感じだ。
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