1549人が本棚に入れています
本棚に追加
ぼくは目を瞑る。美咲の笑顔が真っ先に思いうかぶ。『ヒヨコ』と住もうという決心をしたぼくを見たときの、笑顔。ぼくがそいつとヤっちゃうんではないかなんて、全く心配していないようだったし、ぼくにもそんな気はなかった。
「バファリンあるんですけど、飲みます?」
「いらない、さっき、飲んだから」
寝返りをうった。頬を触った。畳の痕がついている。
「ほんとうに、大丈夫ですか」
少女の手には湿ったタオルが握られていた。少女は、それをぼくの額にあてがう。熱があるとでも、思ったのだろうか。しかし、そのタオルの冷たさはどこか心地よくて、ぼくはしばらく眠りについていた。
最初のコメントを投稿しよう!