彼女は生きる手段を知らない

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ぼくは目を瞑る。美咲の笑顔が真っ先に思いうかぶ。『ヒヨコ』と住もうという決心をしたぼくを見たときの、笑顔。ぼくがそいつとヤっちゃうんではないかなんて、全く心配していないようだったし、ぼくにもそんな気はなかった。 「バファリンあるんですけど、飲みます?」 「いらない、さっき、飲んだから」 寝返りをうった。頬を触った。畳の痕がついている。 「ほんとうに、大丈夫ですか」 少女の手には湿ったタオルが握られていた。少女は、それをぼくの額にあてがう。熱があるとでも、思ったのだろうか。しかし、そのタオルの冷たさはどこか心地よくて、ぼくはしばらく眠りについていた。
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