1549人が本棚に入れています
本棚に追加
「三人で一緒に暮らそうよ」
そう言ったのは美咲のほうだった。無責任にもそんな言葉を放ったその瞳はきらきらと輝いていてた。喫茶店特有の、ミルクティーのような生ぬるく甘ったるい雰囲気も影響して、ぼくは何だか苛々した。
もちろんぼくは美咲のことが好きだ。その輝く瞳や、やや舌足らずな声、すべてが好きだ。だけど、ぼくは美咲のやり方に疑問を感じずにはいられなかった。
「ねえ、いい方法でしょ」
ただ、ぼくには断る理由が見つからなかった。というか、断ることができない立場にあったのだ。ぼくは別の話に切り替えようとして、昨日見た(はずの)バラエティ番組の話や最近公開された(はずの)映画の話へと会話を持って行こうとしたが、美咲はそんなぼくの行動を見透かしているようで、ぼくの作戦はうまくいかない。
タイミング良く、ウエイトレスが美咲に紅茶を、ぼくにはコーヒーを持ってきた。美咲は案の定、備えてあったミルクを垂らし紅茶をミルクティーへ変身させた。
最初のコメントを投稿しよう!