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確かに皿の上は殻ばかりで、実は一つも残っていない。荒井に皮剥きだけさせて、食べるのは自分だけだなんて本当に申し訳なく思う。
「荒井、本当にごめん……」
「ま、食っちまったもんは仕方ないさ」
両手を合わせる俺に荒井は笑顔を見せる。
「じゃあさ、味見だけさせて」
「味見?味見って何?」
言われた意味がわからなくてきょとんとしていたら、荒井が顔を近付けてきた。思わず顔を背けたら、顎を掴まれて唇を奪われた。
四度目のキス。でも今度のは触れるだけじゃなくて。
「んっ……」
するりと舌が滑りこんで来て、驚きにピクリと肩が震えた。舌って結構分厚いんだ、なんて思ったのは少し時間が経ってからのことで。
「矢内も応えて」
少しだけ唇を離して荒井が話しかける。
「う……ん」
俺もゆっくりと舌を動かす。触れ合った荒井のソレは何だか甘くて。だから荒井がちゃんと甘栗を味わったのだと知れた。
「んっ……」
それなのに、荒井はもっともっとと俺を欲しがる。
ホントに口実ばかりなんだから。でも、ちゃっかり荒井の背中に手をまわしてる俺も人のことは言えない。
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