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その昔、美しい緑の瞳を持った竜がいた。
竜は動物界の頂点に君臨し、何よりも強く、何よりも恐れられていた。
それ故、竜はいつも孤独であった。
そんな竜があ日、病に倒れる。
しかし、誰も助けるものはいない。
幾日も苦しみ、薄れ行く意識の中で、美しい歌声を聞いた。
どれぐらい時が経ったのだろう。
竜は、あの優しい歌声を聞いて、ゆっくりと目を覚ました。
傍らには、長い髪を一つに束ね、風のリズムに合わせて歌を口ずさむ女がいた。
『――オマエは誰だ』
竜のがさつな言葉に驚いた表情を見せたが、女は満面の笑みを浮かべて言った。
「おはよう竜さん。 私は薬師のユンよ」
この出会いから、フレイズの薬師は竜の血を引くこととなる。
しかし、一族はユンが裏切りを働いたとして殺してしまう。
竜は怒り狂い、一族に悲しい呪いをかけた。
それは、今尚消えることのない呪い。
物語はここからはじまる。
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