東の森

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「森に入って三日、野獣の痕跡はあるのに本体は何処にも居ないねー。 もう心が折れそうだよ」 カヤックの背中でうなだれながら、ブレンは前を行くリューシンへ訴える。 ユーリスが第四部隊に所属が決まった三日後、国王とその護衛部隊、リューシンの第四部隊は東の森へと出立した。 馬で駆けること二日、東の森のふもと街、ラウルに到着していた。 ラウルで馬からカヤックにのりかえる。 馬は速く扱い易いが、山道には四肢の丈夫なカヤックの方が適しているからだ。 それに、繊細な馬は本能から野獣を恐れてしまう。 到着したその日はラウルで泊まり、準備を整え次の日には東の森へと入った。 王は視察目的で動向していた為に、護衛部隊、視察団と共にふもと街のラウルに残る。 第四部隊はリューシンを含む十九名の部隊と、残りの二十名の二つの部隊に別れて捜索を行った。 もし野獣を発見した場合には、もう一方の部隊へ伝達鳥を飛ばし、知らせる事になっている。 「たった三日だろうが。 前は運が良かったんだ。 気を抜いていると、今度は本当に命を持っていかれるぞ」 やる気の見られないブレンの姿に、リューシンは眉をひそめる。 「命を持っていかれる前に、僕の気が狂う方が先さ。 目に写るのは一面の緑。 緑、緑、緑」 一日中カヤックの背中に揺られながら見るそれは、ブレンにとっては退屈過ぎる光景。 野獣の痕跡を追って進むも、未だに出会ってはいなかった。 刺激の無い時の流れに、ブレンは嫌気がさす。 .
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