流す涙のその訳は話せないから

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「……その女性は、貴方様にはとてもお似合いの御方なのでしょうね」  無理に象られる微笑みに、彼は気付かされてしまった。  女給侍の本心に。  そして後悔した。  気付いてしまったその浅はかな心に。  気付かぬ方がよかったその許されぬ想いを抱いた女給侍は、そっと顔を上げる。  儚く震えた唇から、珠の言葉が漏れ出ずる。
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