2117人が本棚に入れています
本棚に追加
「おう、海人!
帰って来てたのか!」
奥のリビングから、短髪の若い男が出てくる。
その男の顔には見覚えがあった……
「雅人……」
桜井雅人(さくらいまさと)……俺より5歳年上で、俺の数少ない親友。
小さい頃からの付き合いで、よく健次と愛美の相手もしてくれていた。
両親が亡くなってからは、仕事であまり家にいない俺の変わりに健次達の面倒を見てくれている。
「いつもすまないな……雅人だって他にやることがあるだろうに……」
「何言ってんだよ。俺達、親友だろ?
助け合うのは当然じゃねぇか!」
そう言って雅人は大きな声で笑った。
その様子を見て俺は苦笑しつつ……
「……そうか」
……と納得する。
雅人はそういうヤツだ。
自分よりも他人の事を優先する……嫌な訳ではないのだが、少しくらいは自分のことを可愛がってもいいんじゃないかと思う時もある。
「健次達はもう食事は済んだのか?」
「うん!
雅人兄ちゃんが作ってくれたんだ!」
「おいしかったよぉー」
俺の問いに答えたのは健次と愛美。
更に話は続く……
最初のコメントを投稿しよう!