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「クス……ッ」
馬鹿みたいに驚いた俺の横で、そいつは笑った。
俺は改めて隣にいる人物を見る……
「…………」
そこにいたのは、俺よりも背の小さい少女。
年の頃は俺とあまり変わらない……もしくは、いくつか下かもしれない。
だが、そんなことよりも一番に目についたのは、肩まで伸びたブロンドの髪。
そして……
「可愛いな……」
聞こえないようにそう呟いた。
その少女の容姿は、一言で言えば西洋の人形……と言うかそうとしか例える事が出来ないくらい、可憐だと思った。
……と。
そんな事を考えていた俺の横で、少女はエヘッ……と笑って……
「雨がいっぱい降って来たね♪」
楽しそうな口調でそんな事を言った。
俺は少し動揺したが、ああ……と言って取り敢えず頷いてみた。
しかし……
「嵐になりそう……」
「え……?」
彼女の言葉に違和感を感じた。
少女はさっきまでの楽しそうな表情から一転して、少し悲しそうな表情へと変わる。
「…………」
返す言葉がなく、俺は外の方を見る。
未だに止まない雨を眺めて、本当に嵐にならないことを祈りながら――
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