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しばらく時間が経って、ようやく雨が止んだ。
「もうこんな時間か……」
時刻は午後8時35分。
いつもならもう家に着いていて、弟達と食事をとっている時間帯だ。
急がないと……と思い、廃屋の外に出ようとすると……
「帰るの?」
ずっと隣にいた少女がそう聞いてきた。
「ああ……
一一早く帰らないと、家族が心配するからな」
「ふぅーん……そっか♪」
そう言って少女は、廃屋の奥へと入っていく。
最後に、こちらを向いて……
「それじゃ、またネ♪」
……と言った。
……また?
俺はその言葉の意味が理解出来なかった。
だんだん小さくなっていく彼女を見て、ふと……思った事があった。
……予感。
何かが起こりそうな気がする……
今までになかったことが……
「……とにかく帰ろう!」
深く考えるのはよそう……と自分に言い聞かせ、廃屋の外に出る。
今日は星が出ていた。
さっきの雨が嘘のようだ。
時間は、午後9時過ぎ。
「急いで帰らないと!」
そして俺は、何かを考えるでもなく家路へと急いだ……
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