嘘子

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『ほんとにもう会えないの?あの話も無理?天使ちゃんなら絶対売れるよ!』 芸能系の仕事をしてる男はアタシを外に出したかったみたいだけどアタシは断った。 自分でも自信があったけど積み重ねてきた嘘がバレるのが怖かったからやめた。 『アタシを育ててくれてありがとう』 誰が見てもかわいかったアタシは更に綺麗になった。 美しい蝶は飛び立ち男は別れに泣いた。 アタシの優しい笑顔が男を笑顔にさせるとアタシはそのまま振り向かず歩いた。 男と平行して他の男何人かと付き合ったけどすぐ別れた。 ヤリたいだけで何もかもが雑…もしくは愛してるだのバカな事を言ってストーカーまがい。 男はアタシの中で最高だったけど何かが違った。何より初めての男とダラダラ一緒にいるのが耐えられなかった。 アタシもいつかお姉ちゃんみたいに幸せな結婚するのかな? 『ナナコ~!』 ナナ? あの冴えなかったナナ? 大学入って派手に遊んでるって聞いたけど、ほんとに変わった。 化粧濃すぎだしキャラ別人… 気安く呼び捨てにすんなブス!似たような名前だけでもイラつく。 心とは裏腹にアタシはいつもの小悪魔スマイルでナナを見つめた。 『ナナコは相変わらず美人だねぇ!今何してるの?』 『無職』 本当はヘアメイクの専門学校行きながらキャバで働いてるけど色々聞かれたりするのが面倒くさいから嘘を付いた。 キャバ嬢してるのは誰も知らない。 『お笑いの人と今日合コンなんだよねぇ~』 自慢かよ!? 『あ~アタシもたまにあるよ』嘘だけど 『山下さんとはした事ある?』 『あるよ。あの人プライベートは絡みにくいよね~』噂の受け売りだけど 『やっぱり~!今日初めて会うんだけどナナコも来てよ!』 断れなかった。 行っても行かなくても嘘がバレるかもと思ったら消えてしまいたい気分になった… 嘘を付いた事よりも、こんな女のせいで苦しくなってる事に腹が立った。
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