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昔、あるところに、女の子がいました。
女の子は森の向こうの村にいる病気の母のために町に働きに来ており、7年も母と会っていませんでした。
毎日必死に働き、ある日、休みをもらうことができました。
女の子は稼いだお金で食料を買い、村に帰ることにしました。
町を出て森にさしかかりました。
すると1匹の狼に出会いました。
「何を持っているんだい?」
狼が言いました。
「病気のお母さんにあげる食べ物よ」
女の子は答えました。
「少しわけてくれないか?」
「ごめんなさい。お母さんへのお土産が減ってしまうから…。」
すると狼が尋ねました。
「君はこの先の“針の道”と“ピンの道”のどちらを行くんだい?」
女の子はピンの道だと答え、狼と別れました。
女の子と別れた狼は、針の道を行き母のいる家に先回りし、母を食べてしまいました。
やがて女の子が家に着きました。
「お母さん、ただいま。私よ。」
すると狼が現れて言いました。
「中にお入り。鍵はかかっていないよ。」
中に入り、女の子は母の部屋に行こうとしました。
すると狼が言いました。
「お母さんは今、眠っているんだよ。」
「私、お腹がすいてしまったわ。」
「戸棚に干し肉が入っているよ。それをお食べ。」
狼が言いました。
女の子が干し肉を食べていると猫がやって来て言いました。
「君が食べたのはお母さんの肉だよ。」
「猫がこの肉はお母さんの肉だと言っているわ。」
すると狼が言いました。「そんな嘘吐きの猫には靴を投げておやり。」
「干し肉を食べたら喉が渇いてしまったわ。」
すると狼が言いました。
「台所にぶどう酒があるよ。それをお飲み。」
女の子がぶどう酒を飲んでいると、小鳥が飛んで来て言いました。
「君が飲んでいるのはお母さんの血だよ」
「小鳥がこのぶどう酒はお母さんの血だと言っているわ」
すると狼が言いました。
「そんな嘘吐きの小鳥にはずきんを投げておやり。」
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