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「あれ。結局お前、やっちゃったの?」
出勤するなり、カウンターに張り付くように座っていた万里亜を見て、俊輔は少し下品な笑いを口の端に浮かべた。
「そんなんじゃないって」
くわえていた煙草を灰皿に置き、眉根を寄せて和は肩を竦める。
万里亜は二人のやり取りに言葉を挟むことをせず、和がさっき入れたアイスティーに口をつけた。
「行くところも帰るところもない、一人でいたくないって言うから、連れて来ただけ」
俊輔が改めて万里亜を正面から見つめる。
万里亜は少し戸惑って、アイスティーを口につけたままぺこりと頭を下げた。
「でも、お前が女に何もしないなんて……開店前によく」
「そこまで飢えてないよ」
「でも、こんなカワイイのに」
「関係ないでしょ」
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