◆今日は◆

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レイ>> 君は、大人とは何かを聞いた。 私も君に質問をしよう。 子供とはなんだ。 たったそれだけの文。 鈴香にはそれが男か女か少し気になったが、とりあえず、それは後で考えることにした。 鈴香は困った。 大人ってなんだろう? その事で、今まで鈴香の頭の中は一杯だった。 逆に、じゃあ子供は?と聞かれて、彼女は戸惑うばかりだった。 「んー。なんやろ?」 一人呟き、頭を抱える。 「子供、子供、子供……」 呪文のように小さく呟き続け、 「んなんわかるかぁ!」 さじを投げた。 母親が心配して来たが、鈴香はそれを無視した。 「レイって、どんな奴やかようわからんわ」 麗鈴は掲示板に書き込み、不敵な笑みを浮かべた。 そして、横を見る。 隣には、中途半端に冷えたご飯があった。 「いつからだろうな……」 箸を手にとり、呟き、 「こうして、一人で食べるようになったのは」 悲しげに笑む。 その視線の先には、優しく笑う母親の遺影があった。 「母さんが死んでから、やっと一年。あの、うるさい女が来てから、やっと半年だ」 母親に向かってそれだけを呟き、また箸を動かし始める。 そして麗鈴は視界のすみにある掲示板を見て、ため息を静かにつく。 「大人とは何か……」 そういって思い出したのは後妻だった。 そして日本の偉いウソツキたちだった。 「まぁ、似たり寄ったりだからな」 くすりと笑い、パソコンの画面を変える。 そこにあるのは、麗鈴の父親を恨んでいる人の声。 彼女はそれらに全て目を通し、全てに意見を出していく。 そして、ふと掲示板の少女のことを思う。 彼女はどんな娘だろうと。
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