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麗鈴は掲示板を覗き、苦笑した。
「辞書の言葉か……」
呟き、笑う。
「山本さん、笑うんだ」
皮肉めいた言葉。
それを麗鈴は無視した。
その反応を、彼女たちは鼻で笑った。
「あんた、何様?」
文句がくるが、麗鈴はあえてそれをまた無視した。
「―ガキだな」
「なっ―!」
ボソリと呟き、相手を怒らせた。
これは麗鈴にとって、日常茶飯のことだった。
無視し、相手を怒らせる。
それによって、自分の株をひたすら下げていく。
こうした子供が、ウソツキたちになって世の中に出るわけか、と麗鈴は妙に納得した。
そして、掲示板に書き込みを入れる。
>>スズ
(* ̄ー ̄)b〃
大人から見て少年・少女、幼児のことだよ。
>>レイ
それは、辞書の言葉だね?
僕が求めているのとは、違う言葉だ。
じゃあ、僕も言おう。
大人とは、成長し、正しい分別を持った一人前の人たちのことだ。
これがなにか、君には分かるね?
鈴香はそれを見て、
「う〰」
唸った。
鈴香はこれが何を利用したのか知っていた。
自分より上手らしく、そして何よりも自分より頭が良い。
それに、当たり前だと思った。
しかし、嫌味な奴だと思った。
これは鈴香なりに考え、分からなかった挙げ句の果てに行き着いたものだった。
「スズ。早く行かんと、購買閉まってまうよ?」
時刻は一時近く。
鈴香は時計を見て凍りついた。
「スズ?」
「うちのレアパン!」
そう言って駆け出す彼女を確認し、彼女はそっとため息をついた。
「もうないって」
そしてゆっくりとその後を追う。
しかし、その足は途中で強制的に止まった。
前の通路を女子の集団が封鎖していたからだ。
彼女は踵をかえし、別ルートで鈴香の後を追うことにした。
そんな彼女の肩を誰かがつかむ。
振り返れば、クラスで威張っている少女だった。
一番関わりたくない女。
すごい嫌いな、嫌な女。
その女が後ろで悪魔の笑みを浮かべていた。
それに嫌な予感がした。
なにかが変わる予感が。
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