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今考えてもアタシはこの時石本の事が好きだったのかもしれない。
でもアイツが告白したという事実は「アイツが好きかもしれない」という感情から目を背けさせるには十分だった。
この頃からアタシはアイツを「兄貴」とか「兄さん」と呼ぶ事にした。
7月に入って最初の週。
記憶が正しければ七夕の日。
アタシはいつものようにアイツの部屋に行って一緒に勉強していた。
その日のアイツは少し変でやたらスキンシップを求めてきた。
アタシは石本がふざけてるんだと思ってた。
急に石本はアタシを抱きしめた。
「どーした?」
「…。別に…」
「だったら離せって」
アタシはなんとか石本から逃れようとした。
アイツはあっさりとアタシを離した。
なんとなく気まずい空気が流れた。
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