2323人が本棚に入れています
本棚に追加
横に二人並んで、病室まで廊下を歩く。
今事情を聞きたいのは、もちろん妹のことだ。
でも、余計なことを言ってやぶへびになるといけない。
麻姫ちゃんの様子が普段どおりなので、あまり触れたくなかった。
「あー‥‥‥麻姫ちゃんのお父さんとお母さん、もう帰ってきてるの?」
「ううん。でも今日迎えにいくんだぁ」
それなら隠しとおせるかもしれない。
もっとも、麻姫ちゃんが妹の異常を見ていなければの話だけれど。
「あのさ、麻姫ちゃん―――」
「こんなところにいたのか、腥太くん」
そのとき角から、疲れて不機嫌そうな伊沢先生が出てきた。
ずっと探してくれていたのだろうか。
伊沢先生はぼくが注意を向けたと同時に不快の表情を消し、そしてただ事実を述べた。
「君の妹には、早急に手術が要る」
最初のコメントを投稿しよう!