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事態がのみこめなくて絶句したぼくのかわりに、麻姫ちゃんが声を発する。
「手術って‥‥‥なんの病気なのー?」
麻姫ちゃんはやっぱり妹の―――あれを見ていなかったみたいだ。
小さな安堵もしかし、あまり衝撃をやわらげてはくれなかった。
「ああ、純架ちゃんは―――つっ!」
一日に二回も同じ人―――しかも大人の足を思いきり踏んでしまった。
恨みがましい目でにらんでくる伊沢先生に、言う。
「純架、今一人ですよね?話は診察室で聞きます」
それから麻姫ちゃんに向きなおる。
「大変になりそうだから、帰ったほうがいいよ」
「んー、わかったぁ」
やけに物わかりがいいな‥‥‥。
気持ち悪いぐらいの違和感があったけれど、都合がいいことはほうっておくことにする。
「腥太くんのお母さんに、どこに迎えに行ったらいいか聞きにいくねぇ」
ぼくに疑問を抱かせるひまも与えず、麻姫ちゃんは廊下を駆けていった。
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