ぼくの 一人称の物語

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「お母さん‥‥‥?」 つい最近聞いた覚えのある悲鳴に、ぼくは当然の不穏さを感じ取った。 疲れたのか、また意識もうろうといった様子の妹に、反応はない。 少し寝かしたら落ち着くかな‥‥。 そう思って、やや不安ながらもお母さんの病室を見に行くことにした。 ドアの前に着くと、伊沢先生が気のないノックをしている。 「あ、腥太君‥‥‥君からもお母さんにドアを開けるように言っ」 ぼくは鍵が掛かっていないことを確認すると、ノブを力まかせに回した。 回させまいと押さえていた手をひねったらしく、お母さんが涙の混じった息を吐いてうめく。 その声は、ドアの開く音にかき消された。 「せーたくんに、ちょうど話があるんだよねぇ」 「な‥‥‥麻姫ちゃん?」 欠けすぎた真円の笑顔が、そこにいる。 半ば放心状態のお母さんの腰と首に後ろから腕を回して。 「聞いてくれるぅ?」
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