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―1年前の7月― 夏休みも始まったばかりの7月下旬。 蝉がうるさく鳴き叫ぶ中、僕、森澤葵(もりさわあおい)は一族揃って近所のお寺に居た。 「―――――では、お身内の方からお焼香をどうぞ。」 お坊さんにそう言われると祖母から順にお焼香をした。 僕の眼は涙でいっぱいになっていた。 「ねぇ、知ってる?天(そら)ちゃん即死だったみたいよ。なんでも、飲酒運転のトラックが突っ込んできたらしいのよ……」 「え?!そうだったの?知らなかった。でも、本当に残念よねぇ?この前高校生になったばかりなのに。」 と、後ろの方でコソコソと噂している親戚の声が僕の耳元をちらついていた。 涙を抱えきれなくなった瞼から一筋の涙が僕の頬を通って床に落ちていった。 5つ違いで、今年高校にあがったばかりの天姉は優しい人だった。 よく相談にも乗ってくれた。 悪ふざけもやった。 何をするにも一緒だった。 遺影の中の姉さんは幸せそうに笑っている。あの優しい笑顔をもう見れないと思うと、涙がとめどなく溢れてきた。
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