呼び出し

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* * * あっという間に問題の放課後はやってくる。 時間とは無情なもので、逃げ出したくても逃げ出せないのが現実なのだと、今の凛はひしひしと感じていた。 「じゃあ、行ってきます……」 「大丈夫? 待ってようか?」 力無く呟き、とぼとぼと教室を出ていく凛の背中を日向が呼び止める。 「大丈夫。時間かかるかもしれないし……」 「そっか。解った。頑張ってね」 日向は心配と期待の入り交じった表情で、今にも泣き出しそうな顔をしている凛を見送った。 * * * 廊下を歩く足が重い……。 今までも要が必要最低限の伝達事項を伝える為に、委員長を呼び出す事は幾度とあった。 稀に個人を呼び出す事もあったが、それでもどちらもせいぜい職員室まで。 要が自室の様に使っていると噂される社会科準備室に生徒が出入りすること事態、滅多にある事ではなかった。 ――私、何かした?―― つまり今回の呼び出しは、周りの教師や生徒には聞かれたくない内容……凛にはそんな風に思えてならず、答えの出ない疑問ばかりが社会科準備室へ向かう間中、凛の頭の中をずっと駆け巡っていた。
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