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「長谷部、お前今日から補習な」
「……?」
「おい、聞いてんのか? お前日本史の成績相当ヤバイよ?」
「……?」
別に話を聞いて無い訳ではなかったが、今の凛にはいろいろな意味で驚きの方が大きく、聞こえてくる要の声も右から左の状態だった。
「先生……片山先生ですよね?」
凛は思わず口から出た言葉に、我ながらバカな事を聞いたなと、やや後悔したが、それでもそう聞かずにはいれなかった。
凛が知っているいつもの要は『です』『ます』調の淡々とした口調で喋り、決してこのような話し方はしない。
それなのに、今目の前にいる要はまるで別人のように話し、有ろう事かケタケタと笑っていた。
――こ、こんなに先生が笑うとこ、初めて見たかも……――
滅多に拝む事のできない要のその笑顔に内心かなり驚いている凛をよそに、正面に立つ彼女の顔を要は椅子に座ったまま見上げ、更にクスリと笑った。
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