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朝、いつもの通学路を歩く凛の今日の気分はとてつもなく憂鬱だった。
原因は昨日の要の衝撃の告白。
『ゲームだと思えば、少しは気が楽になる』
そう言ってはみたものの、そんな物はただの気休めだった。
昨日の夜は要の顔が頭の中をちらついてほとんど眠れず、今日、一体どんな顔をして要に会えばいいのか凛は戸惑っていた。
「おっはよー」
と、背後から聞こえてくる日向の陽気な声に振り返る凛。
「あ、日向。おはよう」
凛の顔を見た途端、日向のその笑顔が一瞬強張った。
「凛、顔……凄いよ」
「え? あぁ、昨日あんまり寝てなくて」
「何かあったの? メールしても返信ないし、電話しても出ないし」
「え!? メール!? 電話!?」
心配そうに言う日向に、凛は慌てて鞄から携帯を取り出し画面を確認する。
「あ、ホントだ。ごめん。全然気が付かなかった。夢中でゲームしてたら朝になってて……」
正直、昨日はそれどころではなく、凛は我ながらバレバレの言い訳だと思ったが、日向はさして気にしてはいないようだった。
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