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「ちょっ、何よ相沢君。急に大声出して。そんなの日向の妄想に決まってるでしょ?」
「あ、あぁ、そうだよな。長谷部みたいなどこにでもいるような小娘、あの片山が相手にする訳無いよな」
凛の言葉に一人納得したように、うんうんとうなづきながら春季は続ける。
「てゆーか、あんな男と付き合える女はタダ者じゃ……」
「はいはい。どこにでもいるような小娘で悪ぅございましたね」
しかしそんな春季の言葉に完全に気を悪くしたのか、凛はすっかりそっぽを向いてしまった。
「あぁ、だから、その、そーゆー訳じゃ……」
春季はこの時程自分の口を呪った事は無かった。
* * *
凛と春季は、2年になって初めてクラスが一緒になった。
それまで全く面識の無い二人だったが、共通の友人、日向を通じて自然と話すようになり、今ではお互いに何でも話せる仲にまでなっていた。
春季は凛に特別な想いがあるようだが、当事者である凛はその事に全く気が付いていない。
日向も日向で、春季の凛に対する想いに気付いているが、敢えてその事を凛に教えるつもりは無いようで……早い話が、そんな春季の純情な姿を見て楽しんでいるのだった。
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