満月の夜/錦戸亮

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    ―ヒューッ     寝室の奥にある薄いレースの引かれた大きな窓が開け放たれていて、まだ肌寒さの残る春の夜風が吹き込んで来る     時折、夜風に煽られたレースのカーテンがたなびき、差し込む月灯りに薄い影を作って揺れとった     哀しい程の静寂     誰も、「何」もないような静寂の中、     俺は見つけた    
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