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日曜日。
(は?デート!?)
三花に言われた待ち合わせ場所に着いたゆずゆは驚いた。
「バイト先のお客さんでね、付き合って欲しいって言われてるの。でも1人で会うのは怖いからだから友達も一緒にって頼んだの」
(そんな…だからって)
「お願い。ゆずにも会ってもらいたいの、今回だけだからっ」
その時1人の男が
「三花ちゃーんっ!」
と息をきらして走ってきた。
「光一くん」
それが三花の言っていたデートの相手だった。
「ごめん、遅れた?」
「ううん、ギリギリセーフ。あ、こっちが友達のゆず」
「ゆずちゃん?」
あわててうなずくゆずゆ。「あー、俺手話とかダメで」
(大丈夫、唇の動きでだいたいわかるから)
「え?」
「唇見ればわかるって」
三花が通訳する。
「あ、そうなんだ。光一です、よろしくね」
笑顔の光一にゆずゆも笑顔でうなずく。
「じゃあ、行こっか?」
三花が言うと
「あ、実は俺も友達来るんだ」
と光一。
「あ、そーなんだ」
「夜勤明けで来るから、たぶんもう来ると思うんだけど……あっ」
道の向こうから走ってくる人影に気付く光一。
その視線の先には直秋がいた。
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