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それから二人は一度も口をきかず、気まずい空気のままその日は解散することになった。
ゆずゆを送る道を歩きながら直秋が口を開く。
「なんかあったん?」
答えないゆずゆに直秋は急に立ち止まりゆずゆの眉間を指差す。
突然のことに驚くゆずゆ。
「ここ、シワ寄ってんで」
(…ほっといてっ)
「なんやねん?喧嘩か?」
優しい直秋に負けゆずゆは今日の三花との事を話した。
「アホか」
話し終わったゆずゆに直秋はそう言ってベンチに座った。
(アホ!?)
「アホやね。あの子はホンマにゆずゆの為に光一にゆーてくれたんやろ?それをなんでキレてんねん」
(…だって三花があたしを可哀想ってそう思ったのがムカつくよ)
泣きそうな顔になるゆずゆ。
(あたし、三花だけは違うってずっと思ってた。三花だけはあたしを区別しないって。でも違った…)
「違わへんよ」
(え?)
「あの子はゆずゆのこと区別なんかしてへんやん。それはただの優しさやろ?」
(でも…)
「あの子の言う通りゆずゆは耳の事意識しすぎや。あの子はお前の耳の事なんか一つの個性位にしか思ってへんよ。今日ゆーとったで?私はゆずが羨ましいって」
(え?)
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