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「ハチミツ~~!どこ~~?」
コオリの呑気な叫び声が、広大な山に響き渡る。
先程の食堂にて。
ハチミツはものすごい勢いで朝ごはんを食べ終え、まだ食べ終わらないコオリを残し、いつものようにフラリと館を出ていった。そして。またいつも通りコオリはハチミツを捜している。
「ハチミツ~~?」
近くで畑仕事をしていた館の者はそれを聞いて微笑む。
毎日に近いくらいの頻度で、コオリは毎朝ハチミツを捜し、名を呼び続けているので、彼らにとってもそれは日常となっていた。
ただひとつ違うのがコオリの呼びかけが敬称である『一月姫』から『ハチミツ』という名前に替わったこと。人前であっても敬語を使わなくなったこと。
それすらもまた館の人々の微笑を誘っていた。
『暦神の対同士が仲睦まじいのは良いこと』
なぜなら『暦神の対が不和になれば国が荒れる』そう言われているからである。
コオリもその『伝え話』は知っていた。かといってそれの為にハチミツのご機嫌を取っているわけでは、むろんない。
純粋にコオリはハチミツを愛おしく思っている。
だから名を呼び、捜し続ける。
愛おしい片割れを。
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