342人が本棚に入れています
本棚に追加
/235ページ
全く!コオリの寝起きがあんなに悪いとは思わなかった!この前。確かに私達は想いを伝え合い、心を交わした。
く、口付け、もした。
けど……寝所で……あんなにピッタリ抱きしめられて、耳元で囁かれたらたまったもんじゃないっ!というより心臓が持たないっ!!
先程の場面を思い出して、ハチミツはひとり百面相を繰り広げている。怒り顔になったかと思えば恥ずかしがり、泣き顔に近くなる。
『クスクスクス』
そこに楽しげな笑い声が響く。
ハチミツは辺りを見回し、声の主を見つけ指を差した。
「あっ!あのときの白い鳥」
ハチミツを笑ったのは、近くの枝に止まる大小の二羽の鳥。
『ユビ、ササナイデヨ。シツレイナコダネ』
大きい方の鳥が言う。
「あっ!ごめんなさい。ねえ、あなた達って渡り鳥でしょ?もう旅立ったかと思ってたわ」
ハチミツは彼らに近付きながら言う。
鳥は静かにハチミツを見下ろしながら言った。
『チョット、ジジョウガアッテネ。トウブン、ココニイルヨ』
「そうなんだ。ちょうど聞きたい事があったんだ。何であなた達はあの祠の存在を知っていたの?」
目の前の白い鳥に案内された次の日。コオリとハチミツは再びあの祠を訪れ、結界の札を見つけた。
何代か前の暦神の主に結界を張る力があったのだろう。
それは未だに機能しており、この祠を誰にも発見されないように、人はもちろん動物からも遠ざける働きをしていた。
まあ、札の内容を解読したコオリが言うには、だけど。
『フフフ。ソレハヒミツ。ネエ、カタワレガキミヲミツケタミタイダヨ』
白い鳥の言葉の後、ハチミツの後ろの茂みが揺れる。
『マタネ。ムツキノアルジ』
最初のコメントを投稿しよう!