第一章

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「大丈夫だよ、コオリ。まだまだ慣れないけど私は大丈夫。だから、コオリがそんな哀しい顔をしなくていいよ」 ハチミツは抱きしめられている腕をほどきコオリを見上げる。 そして辛そうに目線を下げるコオリの頬を、両手で包みそう言った。 今にも泣きだしそうな傷付いた表情。 コオリは優しい。 絶対に私よりコオリの立場の方が辛いはずなのに……。 私はしょせん幸せな村娘でしかなかった。父も母も生きてはいるけど、私が暦神だと知って喜んでいたし……。 でもコオリは? 彼の手の中にはたくさんの護るものがあった。 次代の君主としての使命や誇り。 失ったものの数は私よりコオリの方が多いはず。 なのに彼は私を想い、傷付く。 私の少ない失ったものに対して……。 「コオリ」 優しく名を呼ぶ。 フワリと優しく頬に口付けをする。 どうか傷付かないで……。 そんな想いを乗せて。 「うん。ごめんね」 謝るコオリにハチミツは無言で首を振った。
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