第二章

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「コオリ、『重(カサネ)』まではどれくらいで着くんだ?」 大人四人が乗っても充分に広い馬車の中。そこにはハチミツとコオリ、そして家庭教師のタナがいた。 ハチミツは小窓がついている場所で外の風景を眺める為に、コオリから離れた場所に座っている。 タナとコオリは横に並んで座っており、退屈そうにタナがコオリに話しかけた。 「そうですね。この速さならあと半日ってところじゃないですかね?」 コオリはタナの質問に答えながらも、目線はハチミツの方を向いていた。 タナはコオリの視線を追いニヤリと笑う。 「お姫さんは興奮状態だな」 コオリは笑いを耐えるかのように視線を下にする。 「馬車に乗ってからずっとああですからね。あんな嬉しそうなハチミツを見るのは初めてですよ。だからこそ……考え込んでしまいますね」 コオリは声量を落とし、独り言のように呟く。 「暦神は受け身だからな。姫さんの性質では辛いかもな。だから『対』なんだよ、暦神は。姫さんが『否定』をするならコオリが『肯定』すればいい。均衡を保っていくしかないんだよ」 タナは面白くなさそうにそれだけ言うと、壁にもたれてウトウトとしだす。 「タナ先生……?それはどういう意味ですか?」
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