序章「睦月」

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この世界はひとつの決まり事があった。遠い遥か昔に決められた約束事。 『十二組の子を護り慈しむ事』 その子達はそれぞれ『対』になっており、計二十四人の子らはまとめて『暦神(コヨミガミ)』と呼ばれている。 暦神の対を表す名称が――。 『睦月』 『如月』 『弥生』 『卯月』 『皐月』 『水無月』 『文月』 『葉月』 『長月』 『神無月』 『霜月』 『師走』 ――というように十二の暦の名前をそれぞれが冠している為、その名前がついたのである。 暦神を護り慈しむ事――そんな些細な約束を守るだけで、この世界は平和と幸せを保証されていた。 緑の星――龍埜星(リューレノン) この星の世界は七回滅亡し、八回蘇るとされている。 今は契(チギリ)の時代。 第三番目の時代。 時は文月。 なにもかもが原色に輝く季節であった。
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