第二章

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「再会の儀式。俺たち泰神の子供である暦神と親である泰神とが百年ぶりに再会する、それを確認する儀式。さあ、ハチミツ。紺碧の色が灯る床に座って」 ハチミツは戸惑いながらもコオリの指示通り、丸く紺碧に光る床に座る。 ハチミツの着ている着物の、長くヒラヒラした裾が広がる。 「額を床につけて」 コオリは座るハチミツの真横に立ち言う。 ハチミツは正座したまま深くこうべを垂れる。 そして同時にコオリも起立したまま深く深くこうべを垂れた。 「愛しき第一番目の御子神」 神官の声が聞こえ、ふたりの体の一部が熱を持ったかのように痛みだす。 「っ痛」 「ハチミツ。耐えて」 熱を持った部分、それはハチミツは首の後ろ。コオリは左胸だったが、その部分に手を当てたいのをふたりは耐え、同じ姿勢を続ける。 熱を持った痛みが心臓の鼓動とともに踊り出す。 ドクドク、ドクドク。 その音と熱さ。それしか感じられなくなるほど、意識がその塊に集中し、頂点に達したとき。 呆気なく痛みと熱は一瞬でひいていった。 「おかえりなさいませ」 複数の不思議な声がふたりを包む。 コオリがほうっと安堵の溜息をつく。そしてハチミツを立たせ、入って来た扉と逆方向に歩き出した。
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