第二章

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「再会の儀式は終了だよ。今日はもう何もないからゆっくり部屋で休もう」 ハチミツはこの急展開についていけず、目を白黒させている。 「えっ?一体何なの?これで再会の儀式は終わり?何が再会だったの?」 コオリは立ち止まる。そして首だけをひねり、先程の十二の色が灯る床を見た。 ハチミツもつられて床を見る。 「色がひとつなくなってる」 ハチミツが呆然と呟いた。 そう。十二あった床の色は十一になっていた。 なくなった色は紺碧。 「色はここにあるよ」 コオリはそう言いながら、着物の胸元を少し広げ、ハチミツに自分の左胸を見せた。 コオリの左胸。 そこには睦月の暦神を示すアザがある。 普段は黒い紋様で示されていたアザが今では綺麗な紺碧色に染まっていた。 「ハチミツのアザも紺碧になっているはずだよ。今は髪の毛に隠れて見えないけど」 ハチミツのアザは首の真後ろ。先程の儀式で痛みを持った箇所。それが睦月の色である紺碧に染まっている。 「神官が言っていたようにあの床の色は泰神の目なんだ。ここにいる間、俺らは泰神の目を身に宿す。それが再会の儀式なんだよ」 「じゃあ。他の暦神全員が再会の儀式をしたら、あの床の色が全てなくなってアザに色が宿るの?」 「うん。でも泰神の目を宿していると言っても、アザが色付くだけで、他には何も変わりないから安心していいよ」 コオリは再び歩き出しながら言った。 「こっちの扉から神殿の中にある住居に行ける。先にタナ先生や侍従達が向かっていたから、今頃はくつろげるように整えてくれてるはずだよ。半日以上、馬車に揺られて疲れただろ?さあ、部屋に行くよ」 そして、コオリは朗らかに笑った。
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