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それが『好き』というものではないのだろうか?
墓穴を掘るコノハナの言葉に、ハチミツは首を傾げた。
ハチミツは本殿に視線を移す。
再会の儀式は終わったようだ。
紅白の光が消えていた。
しかし、十二の光が灯っていた中心が、まばゆく輝いている。
やがてその光は人型を作っていく。細部はわからないが、髪の長い全体的にゆるやかな着物をまとう姿へと変化していく。
それは光の束のままなので、表情などわかるはずもないのに……ハチミツにはそれが笑ったように見えた。
ハチミツを見つめながら優しく笑いかけている、そんな風に見えたのだった。
ぼうっとその不思議な光の塊を見つめるハチミツ。
そこに。
「何やってんの?」
いきなり真下から可愛い声が聞こえてきて、ハチミツとコノハナはびっくりする。
慌てて視線を下に移すと、ニコニコとあどけない笑顔をたたえた幼い子供がいた。
銅色の真っ直ぐな髪を両端で結んだ、濃い赤色の瞳の少女がふたりを見上げている。
年は十才程度に見える。
薄暗い中ではハッキリと確認できないが、顔の右半分に何かの模様が描かれているようだ。
赤と白のまだらに光っていた。
「えっと」
突然のことで言葉に詰まったハチミツが困ったように笑う。
まさかこっそり再会の儀式を覗いていた、などとは言えるわけがなく。コノハナにいたってはよっぽど驚いたのだろう、目を見開いたまま硬直していた。
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