第四章

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「……ツルミは少し特殊な生い立ちですので」 それだけを小さな声で言った後、コノハナは黙り込む。 もう続きを話すつもりがないのだということがわかって、コオリも口を閉ざした。 そして話題を変えようと思い、別の質問をコノハナにする。 「そうだ。ハチミツ以外の主に聞きたいことがあったんだけど」 コオリの前ふりに、コノハナは首を少し傾げる。 「コノハナさんの夢にもトケイは現れた?」 コオリの口からトケイの名が出ただけなのに、みるみるうちに赤くなっていくコノハナの頬。 やがて顔は俯き、コノハナから、花の香りが匂い立つ。 コオリは「おや?」という表情で、コノハナの赤く熱を持つ耳を眺めた。 「あ……はい。ト……ケイ様は、現れました……二度程……」 やがて、呟き程に小さい声でコノハナが言う。 そのコノハナの変化にニヤリと口許だけで笑い、しかしコノハナから出た「二度程」という言葉にコオリは眉を寄せ、ハチミツを睨んだ。
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