第四章

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「ハチミツ。俺が聞いているのは手紙のときの一度だけだけど……君のところにもトケイは二度現れたのかい?」 口調は変わらない。けれどハチミツにはわかる。 コオリが不機嫌になりつつあることが。 「え……と」 無言で睨んでくるコオリの視線が痛くて、ハチミツの目線は慌てたように宙を舞う。 「あ……」 コノハナは呟き、着物の袖で口許を覆った。 そう、自らの失言に気付き、申し訳なさそうにハチミツを見る。 トケイは二度目の訪問でこう言ったのだ。 『従者に内緒で、考えて欲しいことがある』と。 だから、ハチミツはコオリに二度目の来訪を言っていない。 厳しさを増すコオリの視線。 「……ごめん」 ハチミツは少し上目使いでコオリに謝った。 謝るということは、トケイは二度、ハチミツの元にやって来たということ。隠していた理由もあるということ。 コオリは目を閉じ、胸に迫るモヤモヤを閉じ込め、次に瞳が開いたときには、諦めの溜息をついた。
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